空室検索・予約公式サイトが最安値

Reservation

予約確認・変更・取消はこちら

提携法人専用予約

2025.08.10

「好き」がきっと見つかる。「雑司ヶ谷 手創り市」で過ごす、心地よい“日常”

NEIGHBORS

「好き」がきっと見つかる。「雑司ヶ谷 手創り市」で過ごす、心地よい“日常”

どこかノスタルジックな雰囲気がただよう住宅街、雑司ヶ谷(ぞうしがや)エリア。そのシンボルとして人々に親しまれてきた鬼子母神堂(きしもじんどう)と大鳥神社の境内で、月に一度「雑司ヶ谷 手創り市」が開催されます。

主催は、板橋区でカフェを経営し、さまざまなアーティストの個展を開いていた経験をもつ名倉哲(なぐら さとし)さんです。当時から「個展や展覧会のようないわゆる“ハレの舞台”ではなく、作家さんにとっての“日常の舞台”となる場が提供できたら......。」と考えていたという名倉さん。

シンプルに作品を並べて、お客さんとコミュニケーションを取りながら販売ができる――そんな場所を求めて、2006年に活動をスタートさせました。

訪れる人をやさしく見守るイチョウの木々。秋には黄金色の紅葉が楽しめる

訪れる人をやさしく見守るイチョウの木々。秋には黄金色の紅葉が楽しめる

「雑司ヶ谷 手創り市」は、運営がはじまった初回から、鬼子母神堂で開催されています。主催者の名倉さんが休日に偶然立ち寄ったことをきっかけに、雑司ヶ谷の街並みや鬼子母神堂の景色に引き込まれたそう。境内でのイベントは前例がないなか、鬼子母神堂の担当者と毎月対話を重ね、開催が実現しました。

誰もが「好き」でつながれる場所

「ここに集まる人は、年齢も性別も国籍もさまざま。だけど、好きなものを通じて交流ができます。言葉がなくても、つながることができるんです。」

そう話すのは、「雑司ヶ谷 手創り市」に10年近く出展を続ける「文福工房(ぶんぶくこうぼう)」のおふたり。それぞれが陶器製のアクセサリーや小物などを手掛ける作家さんです。

ブースでは個性あふれる動物たちが出迎えてくれる

ブースでは個性あふれる動物たちが出迎えてくれる

「この場所の、オープンで明るい雰囲気が好きですね。新しいお客さんもリピーターの方も、海外から来た方も、だれもが自然に溶け込むことができるんです。」

「好き」のアンテナを頼りに、心の赴くまま会場をめぐる人々。「あら、素敵ね。」「わぁ!かわいい。」と、作品を介して自然に笑顔と会話が生まれます。

形を変えて愛され続ける、手仕事の温かみ

「こっちがいいかな、でもこれも素敵……。」お客さんと一緒になって楽しそうに商品を選ぶのは、組紐アクセサリーのブランド「MOMME(もんめ)」を親子で運営するおふたり。

現在「MOMME」のアイテムに直接触れられるのは「雑司ヶ谷 手創り市」のみ

現在「MOMME」のアイテムに直接触れられるのは「雑司ヶ谷 手創り市」のみ

「MOMME」のブースには、色鮮やかなストラップやベルトが並びます。50年以上続けてきた伝統的な帯締めづくりの技術を用いて、一つひとつ手作業で制作した作品です。

繊細で美しい帯締めを「何か新しい形で活かせないか。」という想いから、それぞれデザイナーとフォトグラファーをしている息子さん、娘さんが加わって、親子3人でブランドを立ち上げました。

「MOMME」は組紐づくりに使う糸の束の重さの単位「匁(もんめ)」に由来

「MOMME」は組紐づくりに使う糸の束の重さの単位「匁(もんめ)」に由来

着物を着る機会が減った現代では馴染みが薄く、高価なイメージもある帯締めを、現代の暮らしに合うように素材を変え、携帯ストラップやベルトなどに応用。伝統技術を大切に受け継ぎながらも、私たちの日常にそっと彩りを添えてくれるアイテムが生まれました。

そのときの気分や作りたい柄によって、糸の配色や組み方を変えていくという組紐作り。お母様のその日の感情やインスピレーションが、一本一本の紐に込められ、世界に一つだけの作品になります。

伝統的な組紐の技術を活かしたスマートフォン用ストラップ

伝統的な組紐の技術を活かしたスマートフォン用ストラップ

「『雑司ヶ谷 手創り市』は、作り手とお客さんの距離が近く、温かいコミュニケーションが生まれるところが魅力です。クラフトに興味があるお客さんも多い印象ですね。」

制作の工程や素材へのこだわりなどを熱心に尋ねる方も多く、会話が弾むのだそう。ときには、お客さんからの何気ない一言が、新しい作品を生み出すきっかけになることも。

「受け継がれる伝統の技を、今の時代に響くかたちで」。そんな想いが込められたMOMMEの作品は、手仕事の温かさはそのままに、人との出会いを通してしなやかに進化を続けます。

「自然な自分」で作品と向き合える場所

「話すのが得意な人もいれば、苦手な人もいる。それは作り手も来場者も同じです。だから、作品を通して、それぞれの心地よい距離感でつながれるような場であること。なんだかその方が、自然だなと思います。」主催者の名倉さんは語ります。

作り手との会話から作品への理解が深まり、新しい発見があるのはクラフトマーケットの魅力。しかし、それだけではなく、作品そのものをじっくりと見て、心惹かれるものがあれば手に取ってみる。そんな“静かな作品との対話”も大切にしています。

食品や衣料品の作家さんも多く出展している

食品や衣料品の作家さんも多く出展している

今年で19年目を迎えた「雑司ヶ谷 手創り市」。「僕ら運営の役割は、この場を続けること。」名倉さんは、凛とした表情で語ります。

「作品の制作も、お客さんとのコミュニケーションも、ブース作りも試行錯誤。アイデアを考え、選択し、試すことができるのが作家と呼ばれる人たち。 “好き” を仕事にするのに必要なことだと思います。」

毎月開催される手創り市は、作り手にとって、自分の作品をお客さんに届け、反応を直接感じられる貴重な機会。ディスプレイを少し変えてみたり、お客さんの声から新しいアイデアが生まれたりと、小さな挑戦を繰り返しながら、それぞれの作り手が自分の表現を深めていくことができる“日常の舞台”が体現されていました。

移りゆく世の中でも、変わらない“日常”がここに

「雑司ヶ谷 手創り市」は19年の歴史のなかで、そこに集まる人たちから自然と生まれる変化を受け入れながら続いてきました。

しかしその根幹には、変わらないものがあります。互いの個性を尊重する姿勢、それぞれの個性が互いの『好き』を通じてつながる喜び、つながることで生まれる発見――そこに集う一人ひとりが積み上げてきた心地よい“日常”がそこにありました。

穏やかな時間が流れるこの場所で、作り手の想いがこもった作品と、心温まる出会いがいつでもあなたを待っています。


雑司ヶ谷 手創り市 
住所:<雑司ヶ谷 鬼子母神堂会場>東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20/<大鳥神社会場>東京都豊島区雑司ヶ谷3-20-14 
アクセス:JR「池袋駅」東口より徒歩15分/東京メトロ・副都心線「雑司ヶ谷駅」より徒歩5分/都電荒川線「鬼子母神前」駅より徒歩5分 ※駐車場・駐輪場なし
HP:https://tezukuriichi.com/home.html
SNS:https://www.instagram.com/zoshigaya.tezukuriichi/ 
*次回開催日や出展リストなどの詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。 

 文福工房 
SNS:https://www.instagram.com/bunbukuparsley/ 

 MOMME 
SNS:https://www.instagram.com/momme_kmhm/